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読書・書評―会員お薦めの一冊―「思考の整理学」外山滋比古  ちくま新書


長柄英男会員

 わが鹿児島西ロータリークラブの会員の平均年齢は現在、63.7歳で、人生も終盤にさしかかったお年頃、といっていいだろう。それぞれに立派な業績を上げ、地域でトップと言われ,尊敬を集める人たちの集団である。企業人として、グループのリーダーとして、いろいろ考えを巡らし,それを実行されてきたので今日の地位と名誉を手にされたのだと思う。
しかし、著者があとがきで指摘するように、考えるということについて誰かに教わったという記憶のある人は少ないだろう。この本は、そのような考え方のコツについて書かれている。
 著者の外山滋比古は1923年生まれで、初版は1983年に出版されているから60歳のときに書かれたものである。当時はお茶の水女子大学教授の英文学者で、さらに付属幼稚園の園長も務めた教育者でもある。90歳近い最近もご健在でテレビでも取り上げられ、この本が若い人たちによく読まれているというので改めて読み直してみた。
 大学教授らしく卒業論文的な書き方など学生向けの部分もあるが、改めて言われてみると、なるほどと思うことも多い。そのなかのいくつかを紹介しよう。
 学校で生徒は先生と教科書にひっぱられて勉強する。独力で知識を得るのではない。いわばグライダーのようなもので、自力では飛び上がるコツはつかめない。目標がはっきりしているところではグライダー人間が評価されるが、新しい文化の創造には自分で飛ぶ力を持つ飛行機能力が不可欠である。
 わき目も振らず,ひとつのことに打ち込む。王道を歩んでいるようだが,その割には効果の上がらないことがしばしばである。思考の整理法としては,寝かせるほど大切なことはない。アイデァは書き留めておいて、しばらくの間寝かせることをすすめている。
 「ピグマリオン効果」というのがある。40人の生徒をA、B二つに分けてテストをする。Aのグループには採点して返す。Bのグループは採点をしないで,一人一人に成績が良かったと伝える。2回目のテストも同じようにAグループは採点をして返す。Bグループは採点をしないで成績がよかったと伝える。これを何度か繰り返し、今度はA、B両群ともに採点し,平均点を出してみると、採点せずに褒めていたBグループの方がAグループより点が高くなっている。これを「ピグマリオン効果」という。根拠なしに褒めていても、褒められた方が成績が上がるという訳である。
 ロータリークラブという組織について言えば、同じ専門の人間同士では、どうしても話が内向きで批判的になって、おもしろくない。それぞれ違った仕事をしている異業種同士であれば、思ったことを気軽に何でも話し合える。これが、会員資格を一業種一会員とするロータリーの神髄である、と看破している。お互い良くわからないうちに褒め合って、お互いに新しい活力を得ているのだろう。
 不景気風が世の中に吹き荒れ、新型インフルエンザが猛威を振う中、新しい年を迎えた。こういう時こそ、人生のコツ、妙味について考え直してみてはどうだろう。お互いに褒め合いながら、勇気を分かち合って新しい年に立ち向かうことができれば、すばらしい。そういう思いに誘ってくれる一冊であり、ご一読をお勧めする次第である。
 最後に最近、私が作った格言。「ゴマすりあうも、他生の縁」。

 

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